「地域包括ケア 営業リスト」で情報を探している場合、まず確認しておきたいことがあります。「地域包括ケア」には、高齢者の生活を地域全体で支える地域包括ケアシステム(地域包括支援センターや居宅介護支援事業所など、病院に限らない幅広い事業者が関わる政策の枠組み)と、病院が届け出る病棟区分の一つである地域包括ケア病棟(地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料)という、2つの異なる対象があるためです。本記事は病院データベースサイトとして、後者の「地域包括ケア病棟のある病院」への営業リストに対象を絞って解説します。地域包括支援センター等、病院以外の事業者リストをお探しの場合は、本記事の対象外となりますのでご留意ください。
地域包括ケア病棟は、急性期の治療を終えた患者の在宅復帰支援や、在宅療養中の患者の緊急時受け入れ(レスパイト入院)などを担う病棟です。病床機能報告では回復期機能の一例として位置づけられています※1。急性期病棟からの転院・転棟先としての役割と、在宅・介護施設からの緊急受け入れ先としての役割の両方を持つ点が特徴です。
診療報酬上は「地域包括ケア病棟入院料」(病棟単位)と「地域包括ケア入院医療管理料」(病室単位)に分かれ、さらにそれぞれ1〜4の区分があります。区分によって、在宅復帰率や自宅等からの受け入れ割合などの基準が異なります(詳細は後述)。
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料は、診療報酬の施設基準の一つとして地方厚生局への届出が必要です。地方厚生局は、管轄地域の届出受理医療機関の一覧を公表しており、九州・近畿・北海道・関東信越など複数の厚生局で、地域包括ケア病棟入院料に関する届出受理医療機関名簿がPDF等の形式で確認できます※2。この名簿を使えば、「地域包括ケア病棟を持つ病院」という条件で営業先を絞り込むことができます。
ただし、名簿の形式・更新頻度は厚生局ごとに異なり、1つのファイルに複数の施設基準の届出医療機関がまとめて記載されている場合もあるため、自社でリスト化する際には該当する届出区分の抽出・名寄せといった前処理が必要になります。
地域包括ケア病棟入院料・管理料の1〜4の区分は、在宅復帰率や自宅等からの入棟(入室)割合といった基準の満たし方によって分かれます。たとえば入院料1・管理料1は、在宅等への退院患者の割合が7割2分5厘以上であることが基準の一つとされています※3。区分2〜4は、複数ある基準のうちいずれかを満たせばよい設計になっており、1に比べると基準の組み合わせ方に幅があります。
営業リストの絞り込みという観点では、どの区分かそのものよりも、「在宅復帰支援に積極的に取り組んでいる病院か」「在宅・介護施設からの緊急受け入れを重視している病院か」といった病院の運用方針の傾向を読み取る手がかりとして区分を活用するのが実務的です。たとえば在宅復帰率の基準が厳しい区分を届け出ている病院は、退院支援や在宅移行支援のシステム・サービスへの関心が相対的に高いと推測できます。なお、点数や基準の詳細な数値要件は改定のたびに変わるため、営業資料に反映する際は必ず最新の告示・通知で確認してください。
「地域包括ケア病棟」と似た名称の「地域包括医療病棟」は、令和6年度診療報酬改定で新設された別の病棟区分です。地域包括医療病棟は、高齢者の急性期医療と早期リハビリ・在宅復帰支援を一体的に提供することを目的としており、届出医療機関数は制度開始後の令和6年から令和7年にかけて急増したと報じられています※4。名称が似ているため、営業リストやターゲティング資料を作成する際は、自社が狙うべき病棟がどちらなのかを取り違えないよう注意が必要です。
地方厚生局の届出名簿は無料で確認できる一次情報ですが、前述の通り厚生局ごとに形式が異なり、該当区分の抽出や名寄せ、他の病院情報(診療科目・所在地・法人種別等)との突き合わせには相応の工数がかかります。継続的に更新を追いかける体制を自社で持つのが難しい場合は、こうした届出データをクレンジング・名寄せした状態で提供する商用の病院データベースを利用する選択肢もあります。価格や収録範囲は提供会社によって異なるため、個別に問い合わせて確認することになります。
医療機器メーカーなど、施設基準データを使ったより具体的な絞り込み方を知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
病院向け営業リストの作り方
(所在地・病床機能等の基準)を見る
「地域包括ケア」の営業リストを作る際は、まず自社が狙う対象が地域包括ケアシステム全般ではなく病院(地域包括ケア病棟)であることを確認したうえで、地方厚生局が公表する届出受理医療機関名簿で対象病院を特定し、入院料1〜4・管理料1〜4の基準の違いを病院の運用方針を読み取る手がかりとして活用するのが実務的な進め方です。自社でのデータ整備に工数をかけられない場合は、商用の病院データベースとの使い分けも検討してください。
※1 本サイト内「病床機能報告データ」記事を参照
※2 九州厚生局・近畿厚生局・北海道厚生局・関東信越厚生局等、各厚生局公式サイトの施設基準届出受理医療機関一覧(2026年10月時点で公表を確認)
※3 厚生労働省「入院・外来医療等の調査・評価分科会」資料、および令和6年度診療報酬改定関連資料(在宅復帰率の算定対象・算定方法の見直しを含む)
※4 地域包括医療病棟の届出医療機関数の推移について報じた記事(2026年7月公開、出典は中医協総会公表資料)