一般的な病院データベースには、医療機関名称や所在地、開設者、管理者、病床数や診療科目といった基本情報に加え、医師数や病床種別といった医療機関の特性を示す情報が含まれています。
データベースの基礎となるのは厚生労働省や地方厚生局が公表している一次データである場合が多いですが、それを有効活用するのは難しいケースもあります。自社に合った病院データベースを整え、営業に活用するにはどうすべきかをまとめました。
ひとくくりに医療業界といっても非常に多くの業種が存在し、近年では他業種においても医療とのつながりが強くなっているケースが多くあります。そうした企業の営業では、病院データベースの存在がますます重要になっていることが見てとれます。
ここでは病院データベースを活用している業界をいくつかピックアップして紹介します。それぞれ医療機関へのアプローチの視点が異なるため、病院データベースの運用・管理にも特徴があることがわかります。
病院データベースを
活用している業界や
運用・管理の特徴などを詳しく見る
病院データベースに求められるのは「正確性」と「鮮度」です。その水準を維持するためには、同じく正確性と鮮度が担保された情報ソースを手に入れなければなりません。
病院データの情報ソースはさまざまな発信元が存在しますが、ここでは「公表・公示データ」「リレーション・情報補完データ」「独自調査ベンダー」の3領域に分類し、それぞれの情報ソースの特徴をまとめています。自社に合ったデータベースを作成するにはどのような情報ソースが有用かを考えてみましょう。
いわゆるビッグデータをマーケティングに利用するのがビジネスの世界では当たり前になりつつありますが、医療業界でも同じ流れが起こっています。厚生労働省が公表している医療系オープンデータの活用がその代表です。
人口動態調査や患者調査、病床機能報告など、医療系オープンデータには病院データベースの付加価値を高める貴重な情報が非常に多く含まれています。これを利用しない手はありません。
マーケティングに活用できる
医療系オープンデータについて
詳しく見る
包括評価制度に参加した医療機関から集められた情報を厚生労働省が作成・公開する報告されたデータのことを「DPCデータ」と呼びます。様式1ファイルやDファイルなど7つのデータに分類され、特徴・内容・項目などが異なり、それぞれを組み合わせながら活用するのが一般的です。DPCを活用することで医療費が抑えられる、入院日数が短縮できるなどのメリットがありますが、病床の稼働率低下など経営面にとって大きな影響を及ぼす恐れもあるでしょう。
国税庁に登録されている「法人番号」を活用すれば、医療機関や薬局などの各事業所や施設の情報を紐づけて管理できるようになります。従来の管理方法よりも情報を連携しやすくなり、業務効率化やコスト削減につながるため、多くの企業で活用されており、業界でも病院データべ―スの基礎として役立てられています。法人番号がどのような目的で定められ、社会でどう活用できるのか、その可能性や今後期待されていることについてまとめました。
がん診療連携拠点病院とは、質の高いがん医療を全国どこでも受けることができることを目的とし、都道府県の推薦のもと厚生労働大臣によって指定された病院のこと。
がん拠点病院データは、そんながん診療連携拠点病院が公表しているがん治療に関する詳細や実績などさまざまな情報をデータベース化したものです。診療体形や医療施設、研修体形などがん治療について基準を満たした病院についての正確かつ鮮度の高いデータが収められています。
院内がん登録データとは、国が指定するがん診療がん診療連携拠点病院など、全国の病院で行われているがん治療に関するデータ登録です。がん医療を提供する全国の病院に届出が義務付けられており、がん統計の集計や診療の実態把握に役立てられています。
登録されたデータは、「院内がん登録全国集計結果閲覧システム」で公開されており、すべての都道府県・施設別の状況を検索・閲覧できます。そんな院内がん登録データの活用方法や利用時の注意点についてまとめました。
先進医療とは、厚生労働大臣が定めている高度な医療技術を使用しておこなわれる療養のことです。また、先進医療制度についてこれまでに見直しがおこなわれていること、そして一部の医療が2018年に先進医療から除外されていることなども把握しておきましょう。
厚生労働省の公式サイトでは、先進医療Aおよび先進医療Bについて、その医療技術の名称や適応症、技術に関する概要などが一覧表でまとめられています。必要に応じて確認してみてください。
医療機能情報提供制度は、住民・患者が適切な医療機関を選択するための支援として導入された制度です。医療機関に対して医療機能に関する情報の報告を義務付けており、報告を受けた都道府県が公表する仕組みになっています。
これまで入手手段が限られていた医療機能に関する情報が一律で提供されるようになった一方で、都道府県によって情報フォーマットや定義が異なることから、利便性が低いという課題も。医療機能情報提供制度のデータを実用化しようと、独自のデータベースを作成・提供している企業も存在します。
住民・患者が適切な医療機関を選択するために導入された医療機能情報提供制度。それに準じて、各病棟ごとに医療機関が医療機能に関する情報をデータにまとめて報告する仕組みがあります。
都道府県および厚生労働省に提出される病床機能報告データには、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の4つの区分に分かれており、当てはまる区分を選んで報告されます。データは細かく月間、年間、指定日などで算出するため、データベースの取扱企業を選んでおくのがおすすめです。
薬局は薬局に関する機能(所在地や営業日、管理者、開店時間、地域連携薬局の認定の有無など)を都道府県に報告することが義務付けられています。これは住民が適切な薬局を選択するために導入された制度で、報告を受けた都道府県は住民に分かりやすく情報を提供しなくてはなりません。
令和6年1月より、この薬局機能情報提供をオンラインで報告できる制度がスタートします。病院との関わりが深い薬局の情報もオンラインを通して閲覧できるようになります。
令和2年4月にオンライン診療に関する要件緩和が行われて以来、電話やオンラインを用いた診療に対応している医療機関数と実施数は以前より増加した状況となっています。そして、令和4年には診療報酬の改定も行われました。今回の改定では、オンライン診療における評価の見直しや新設も行われていることから、より柔軟な算定が可能となっています。このような点から、オンライン診療のさらなる普及が期待されています。
診療報酬届出データは、医療機関施設が届出ている診療報酬加算項目をもとにした悉皆性の高い情報で、施設の診察能力を把握するのに役立ちます。診療報酬届出データは開示情報の更新性が高く、継続的な取得およびデータ化処理が必要となるので、データベースを構築する際は注意が必要です。
また、データベースの運用にあたっては、古い届出情報などの不正確な情報が混在しないように、2年ごとに行われる診療報酬改定に関する知識も求められます。
人間ドック施設データは病院データベースにおける連携データの1つで、検査項目や健診の種類などのデータを利用できます。ただし、提供している企業によって取り扱っているデータの内容が異なるため、病院データベースを導入する際は目的に合った使用ができるかを確認したうえで、検討するようにしましょう。また、公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会の公式サイトでも、健診施設から提供を受けた健診データを確認できます。
病院では、患者さんのカルテや薬剤、診察に関する情報などさまざな情報を取り扱っています。その中でも、院内業務をスムーズに行うために重要なのが時間データです。
時間データの活用には、外来受付時間の分析や曜日別の診療時間の把握が必要となります。そして、特に重要なのが診察の待ち時間対策です。長い待ち時間は、主に同じ時間帯に患者さんが集中してしまうことで発生します。これを防ぐためには、患者さんがスマホやwebサイトから事前に予約できる予約システムの導入が有効でしょう。また、受付の手間を省くための番号札・呼び出し機器などのシステムも有効です。
全国の動物病院の基本情報を確認できるデータベースです。これにより、地域ごとの動物医療について分析できるほか、新規動物病院の設立や既存の病院のサービス改善に役立てられるでしょう。
その他にも、動物病院や獣医師の数について紹介します。
患者の医療情報を特定できないように加工する匿名化は、新薬開発や治療法改善に重要です。個人情報保護のため、氏名や連絡先などを削除し、他の情報と照合しても特定できないようにします。
また、2022年には個人情報保護法が改正され、第三者へのデータ提供制限が強化されました。
▼選定条件▼
「病院データベース」とGoogleで検索し10ページ目までにまでに表示される、病院データベースを独自にカスタマイズして販売している企業を11社調査した中で、病院・診療所・歯科診療所の合計数が最も多い企業として選出(2022年12月14日調査時点)。カスタマイズとはオープン上および独自の方法で病院データを入手し、それを顧客に合わせて編集しているものを指します。
▼選定条件▼
「病院リスト販売会社」とGoogleで検索し5ページ目までに表示される、カスタマイズされていない簡易的な病院データベースを販売している企業を6社調査した中で、全国版のデータが最も安い企業として選出。(2022年12月20日調査時点)
▼選定条件▼
「病院データベース」とGoogleで検索し10ページ目までにまでに表示される、病院データベースを独自にカスタマイズして販売している企業を11社調査した中で、唯一医師データを取り扱っている企業として選出。カスタマイズとはオープン上および独自の方法で病院データを入手し、それを顧客に合わせて編集しているものを指します。