医療機器メーカーや製薬会社のBtoB営業では、病院データベースの整備が成果を左右します。ターゲット医療機関を正確に絞り込めなければ、限られた営業リソースを有効に使えません。
病院データベースを構築する選択肢は、厚労省等が公開する無料のオープンデータを自前で加工する方法と、民間企業の有料サービスを導入する方法の2つです。本記事では双方の特徴を整理し、自社に合った選択基準を示します。
無料で入手できる主な情報ソースには、厚労省「医療情報ネット(ナビイ)」のオープンデータや各地方厚生局が公開する保険医療機関届出データ、病床機能報告データがあります。
取得コストはゼロで、ランニング費用も発生しません。公的機関が発表する原本データのため、根本的な情報の信頼性が高い点も強みです。
一方、実務で活用するにはいくつかの壁が立ちはだかります。
有料の病院データベースは、公的データをベースに民間企業が独自の収集・調査情報を掛け合わせたサービスです。無料データとの違いは、クレンジング済みのデータを即座に営業活動へ投入できる点にあります。
医療機関コードや法人番号があらかじめ付与され、重複や表記ゆれは排除済みです。専門医の在籍状況や手術件数、特定医療機器の導入有無など、ターゲティングに直結する付加価値データが豊富に揃っているため、精度の高い絞り込みが可能になります。
API等を通じたSFAやCRMへの自動連携にも対応しており、営業プロセス全体を効率化できます。デメリットは初期費用や月額・年額の利用コストが発生する点です。
無料データが向くのは、特定地域のみでリスト件数が少なく手作業で管理できるケースです。社内にエンジニアがいてデータ加工を自動化できる体制がある場合や、予算をかけずテスト的に始めたい段階にも適しています。
有料データは、全国規模でBtoB営業を本格展開する組織に向いています。営業担当をリスト作成から解放し商談に集中させたい場合や、MAツール・CRMと連携した施策を実施したい企業にもフィットします。
見落としがちな点として、データ加工に費やす人件費の存在があります。加工工数を考慮するとトータルでは有料の方が安くなるケースも珍しくありません。以下の5つの比較軸をもとに、自社に最適な方法を検討してみてください。
| 比較軸 | 無料オープンデータ | 有料サービス |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 月額・年額の利用料 |
| データ精度 | 生データ(要加工) | 名寄せ・正規化済み |
| 情報量 | 基本項目中心 | 付加価値データあり |
| 運用負荷 | 社内リソース必須 | 更新は提供元が対応 |
| システム連携 | 自社開発が必要 | API等で容易に連携 |
無料か有料かの判断は、社内リソースの有無と営業の規模・目的で決まります。費用面だけでなく、データ加工にかかる工数や運用体制まで含めた比較検討が欠かせません。
有料データベースも提供企業ごとに強みが異なります。自社の営業戦略に合ったサービスを見極めるために、複数社の機能や費用を比較したうえで問い合わせを検討してみてください。