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病院のDPCデータとは?

DPC制度を元にDPC算定データの中から構想労働省が作成し公開する報告データ群のことを「DPCデータ」と呼びます。このページではDPCデータの概要や種類、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説するので参考にしてください。

DPCデータとは

DPCは、「Diagnosis Procedure Combination」の略称です。Diagnosisは診断、Procedureは治療、Combinationは掛け合わせを意味します。診断と治療を掛け合わせて分類を作り、データ化するという概念です。診断を縦軸、治療内容を横軸にして、患者さんを分類するイメージが分かりやすいかもしれません。

このDPCの概念に基づき導入されたのがDPC制度。DPC対象病院の中でDPC算定した結果のデータが「DPCデータ」です。比較的大きな病院のデータをまとめたものと言えます。DPCデータに使用されるのが「DPCコード」です。

DPCデータの内容

DPCデータの内容は、6種類のファイルで構成されています。

様式1ファイルには、「郵便番号」「性別」「生年月日」「入院経路」「退院先」「転帰」「病名」「重症指数」などが含まれており、診療科別の患者数や性別・年齢による患者数、疾患別の患者数、救急車搬送からの入院患者数など、平均在院日数が集計できます。

様式4ファイルは支払い情報です。集計には不向きな情報です。

EFファイルには「診療行為」「使用薬剤」「薬剤の使用量」「投薬日数」「点数」などが含まれています。診療科別の請求金額や診療単価、任意の薬剤の平均投与日数などが集計できます。

Dファイルは、「診断群分類」「点数」が含まれ、診療科別の請求金額や診療単価、DPC別の請求金額や診療単価を集計可能です。

Hファイルは「重要度」「医療・看護必要度」が含まれます。重症度や医療・看護必要度Iによる基準該当割合、入院経過日数別の基準該当割合の推移を集計します。

様式3ファイルは入院基本料や加算の届出情報が含まれますが、集計には向いていません。

DPCコードとは

DPCデータは、1人の患者に1つのコードが付与されるコードです。DPCコードという「入院料」を決めるための14桁で構成された番号で分類され、まとめられています。DPCコードの構成要素は、「MDC」+「分類コード」+「病態等分類」+「年齢・体重・JCS条件等」+「手術等サブ分類」+「手術・処置1.2」+「副傷病名」+「重症度等」です。それぞれの決められたコードを組み合わせてDPCコードを作成します。

最初の6桁は、基本DPCとよばれ、入院中に最も医療資源を投入した病気を示します。コードは病気ごとに決まっており、2つの症状での入院の場合は治療費が高い方のコードを取ります。

この6桁のうち最初の2桁は、MDCです。主要疾患群のことで、何科の病気かを示しています。

7桁目は病態の分類でしたが、2006年度以降、この分類は行われていません。

8桁目は、年齢・出生時の体重・意識障害の分類が治療に影響する場合に記載されます。

9・10桁目は、「手術等サブ分類」。それぞれの疾患に対しての手術に応じたコードが割り振られます。

11・12桁目は、手術の他の治療をした場合に割り振ります。

13・14桁目は、入院中に他の病気を併発した場合、重症度によって割り振られます。

レセプトデータとの違い

レセプトデータは、病院、診療所、調剤薬局などで患者が受診した病気や治療内容を記載した「診療報酬」の明細データです。すべての保険医療機関が対象になっています。

一方、DPCデータは、DPC病院のみで取り扱われるデータです。レセプトデータにはない傷病名の序列や患者の郵便番号がDPCデータにはあることも、違いと言えます。DPCデータの方がより詳細な情報が含まれているのが特徴です。

DPCデータの種類

DPCデータには一つのデータファイルを指すだけでなく、複数のデータファイルで成り立っているのです「様式1ファイル」「EFファイル」「Dファイル」「様式4ファイル」「Hファイル」「様式3ファイル」「Kファイル」の7つがあり、それぞれで特徴や項目、作り方などが異なります。ここではデータの種類について見ていきましょう。

様式1ファイル

「DPC版退院サマリ」「DPC版カルテ」と呼ぶこともあり、患者の性別・郵便番号・病名・手術・重症度指標の項目が含まれています。もし様式1ファイルを新規につくるのであれば、収集するためのツール・仕組みづくりを行わなければなりません。患者数や平均在院日数を算出したいのであれば、様式1ファイルでも問題ないでしょう。しかし様式1ファイルには経済的な情報や診療内容が含まれていないので、収入面の把握・クリニカルパスの適用率・診療の可視化などをチェックしたいなら「EFファイル」「Dファイル」を活用する必要があります。

EFファイル・Dファイル

基本的にレセプトの情報が含まれているデータで、診療行為・実施日・使用薬剤・使用料の項目です。医療会計のシステムに情報が蓄積されていることが多いため、新たに情報収集を行う必要はありません。ただ医療会計のシステムにファイルへの出力機能を加える必要はあるでしょう。収入の集計や分析のときDPC請求病院であれば「Dファイル」、出来高請求病院であれば「EFファイル」を用います。レセプト情報には病名の情報はなく、もし病名別に収入の状況などをチェックしたいなら、様式1ファイルと結びつけなければなりません。2018年度の診療報酬改定後より、重症度や医療・看護必要度の状態を算出する場合も活用されています。

様式4ファイル

医療レセプトのみ・自費・併用と言った項目がまとめられ、支払方法の情報のデータとなります。Dファイルなどと同様に医療会計システムに必要となる情報はあるため、情報収集をする必要はありません。このファイル単体で、集計や分析に活用することはほとんどなく、様式1ファイル・EFファイルなどと併用して用いるでしょう。それは患者の中には請求金額0円のケースもあり、EFファイルやDファイルだけだと0円のデータも紛れてしまう可能性もあるからです。そのリスクを防ぐためにも様式4ファイルが必要となります。

参照元:株式会社健康保険医療情報総合研究所

DPCデータを活用するには

目的に応じたデータの選択、加工、そして分析が重要です。膨大で複雑なデータ群から有用な情報を抽出し、病院の経営改善やサービスの提供に役立てることができます。

DPCデータの難しさ

データの複雑性

DPCデータは精度が高く、大量のテーブル、カラム、レコード、参照データで構成されているため、データのハンドリングや解釈が難しい。

データの膨大さ

厚生労働省が公開するDPCデータは膨大な量があり、目的の情報を探し出し、整理するのが困難。

DPCデータを活用するためのコツとポイント

データの加工とシンプル化

病院データベースを取り扱う企業のプラットフォームを利用して、膨大なDPCデータを医療機関の評価やセグメントソート、条件抽出に使いやすい形に加工することで、直接分析やリストとして活用しやすくなります。

データの紐付け

医療機関標準マスタデータとDPCデータを紐付けることで、さまざまな属性データとのかけ合わせが可能になり、分析の幅が広がります。

入手方法の理解

DPCデータは厚生労働省のウェブサイトで公開されていますが、直接使用するには難易度が高いいため、加工されたデータを提供している企業から入手することが推奨されます。

活用方法の具体例

DPCデータは、病院の戦略策定や地域医療の課題特定、営業リスト作成などに活用できます。例えば、平均在院日数を分析することで、全国的な位置付けや、得意とする疾患に関する分析が可能になります。

DPCデータの活用事例

医療機関検索に活用

株式会社QLifeは、医療総合サイトQLifeの病院検索機能において、DPCデータを含む病院データベースを導入しています。採用しているのは、ウェルネスのWDBです。

医療総合サイトQLifeは、「より自分に適した医療を受けたい」「体調の異変に気付いた」という患者さんが利便性や診療の専門性といった医療機関情報を検索するために活用されています。多くの医療機関の中から自分に必要な病院を見つけたいというニーズの利用者にとって、情報の網羅性と鮮度は重要です。

国内医療機関の90%以上をカバーする施設情報の網羅性・更新性が高いウェルネスのWDBを導入することで、利用者にとって有益な情報提供が実現しています。株式会社QLifeにとって、病院検索事業を行う上での生命線として位置づけられているデータベースです。

参照元:ウェルネス公式サイト(https://www.wellness.co.jp/client/c002/)

都市開発における医療福祉の充実に活用

建築・土木工事をメイン事業としている大成建設株式会社でも、ウェルネスのWDBを導入しています。医療施設の整備、医療福祉は、都市開発の一環として取り組んでいる分野です。単に設計図をもとに建設工事を行うだけにとどまらず、医療機関の困りごとを理解して、解決するための提案や事業戦略を建物の設計に落とし込むため、病院データベースを活用しています。

医療機関の事業を支援するためには、地域の状況を理解する必要があると考え、医療機関ごとの国、自治体への届出、指定の状況を調べられるデータベースが必要でした。そうしたデータを一発で調べることができるWDBは、社内の医療機関の企画・事業支援の専門部署で日々の業務に活用されています。

参照元:ウェルネス公式サイト(https://www.wellness.co.jp/client/c005/)

病院データ取り扱い企業を探すなら

病院データの取り扱い企業を探す際には、まず自社での用途を明確にする事が重要です。 その上で、各企業の特徴などをしっかりチェックし、最適な企業を選ぶようにしましょう。

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DPC制度の概要

平成15年に急性期の入院医療を対象に診療報酬の包括評価制度「DPC制度」が開始されました。この制度に参加した病院から報告される「DPC算定データ」に基づき、厚生労働省によって作成し公開する報告データのことを「DPCデータ」と呼びます。

このDPCデータはDPCを導入の影響に関する「退院患者調査」や、それに関する関連データが含まれ、医療機関の治療実績の評価に役立つでしょう。ただ公開されているデータは実情に基づいた高い精度のデータのため、解釈やハンドリングなどが難しく、データ解析における専門的な知識が求められます。

DPC制度のメリット

患者にとってのメリット

DPC制度を活用することで、患者にとっては「診療行為の標準化や透明化」「診療行為の質が高まる」「医療費が抑えられる」などのメリットがあると言われています。

出来高による算定であれば処方や検査が増えれば、その分医療費も高くなり患者の負担も大きくなってしまうという問題がありましたが、DPC制度は医療費がいわゆる定額制のため患者が支払う医療費は変わりません。ただ病名・検査・治療の内容・入院日数などで医療費が決まるため、状況によっては出来高算定よりも高くなるケースもあるので注意が必要です。

病院にとってのメリット

DPC制度を導入することで、病院にとっては「医療の質を一定に保ちやすい」「医療の効率化が推進できる」「医療の標準化につながる」「病院側の診療報酬が増える可能性がある」などのメリットが挙げられます。ただ病院の状況によってもメリットは変わってくるでしょう。

DPC制度のデメリット

DPC制度は必ずしもメリットばかりではありません。「患者に対し十分な医療が提供できない可能性がある」「地方にある医療機関で病床の稼働率が下がることによる収入減少」などのデメリットが挙げられます。

DPC制度は医療の効率化を図ることを目的としており、平均在院日数が短縮できるというメリットはあるでしょう。しかし本来検査が必要にも関わらず、検査による収入が見込めないなら検査を行わない恐れがあります。

また特に地域医療にとっては経営面にデメリットもあり、病院の収益に大きく影響を及ぼしてしまうでしょう。

まとめ

DPC制度は、患者にとっては、

  • 診療行為の標準化や透明化
  • 診療行為の質が高まる
  • 医療費が抑えられる

というメリットがあり、病院にとっては

  • 医療の質を一定に保ちやすい
  • 医療の効率化が推進できる
  • 医療の標準化につながる
  • 病院側の診療報酬が増える可能性がある

というメリットが考えされます。

  • 患者に対し十分な医療が提供できない可能性がある
  • 地方にある医療機関で病床の稼働率が下がることによる収入減少

という懸念もありますが、もともと、医療の効率化を目的として導入されたDPC制度は、
人手不足で悩んでいたり、DXを進めたい医院にとっては、プラスの面が大きいでしょう。

DPCデータは膨大なデータで構成されるため、データの扱いや解釈が非常に難しいものです。

DPCデータの利用を考えている場合は、ぜひ専用の病院データの利用を検討してください。

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