新たに医療機関を開業する場合、現在から将来に向けてどのくらいの患者数が見込めるかをさまざまな視点から調査・把握することを一般的に診療圏調査といいます。医療機関にとってのマーケティングという見方もできます。
上記の調査の前提として、どのくらいのエリアから患者さんが来てくれるかという商圏の設定が必要です。商圏は地域性によって同心円の距離で考える場合もありますし、車による移動時間で設定する場合もあります。
当然ながら、範囲を広くすればするほど患者数が多くなるわけではありません。商圏には競合先が存在するからです。実態に即した商圏設定が大切だということです。
実際の患者さんの来院範囲はそれなりに複雑で、近ければいいというものでもありません。そのエリアなりの「生活動線」というものが存在するからです。
距離が近くても道路が狭いから行きにくい、多少遠くても価格が安いスーパーマーケットがあるなど、生活動線を複雑にする要因は数多くあります。大病院ならともかく、クリニックの患者数は生活動線に大きな影響を受けること、これは診療圏調査を行ううえでの課題です。調査の際には、生活動線を反映した診療圏=商圏の範囲を設定することが重要です。
開業コンサル企業の多くは診療圏調査に専用のソフトを使用しています。そのデータベースは当然ながら定期的に更新されていると思われますが、そのタイミングによっては閉院したクリニックが含まれていたり、逆に最近開業したクリニックが含まれていなかったりすることもあります。つまり、競合先の数が実態とは異なる可能性があるということです。
また、どんな医療機関でもどんな医師でも同じカウントでいいのか、という問題もあります。たとえ同じ診療科であっても、圧倒的な患者数を誇るクリニックと閑古鳥が鳴いているクリニックが同じ1カウント、働き盛りの開業医と引退間近のベテラン開業医が同じ1カウントなら、調査結果のリアリティも薄れてしまうでしょう。
このような情報も加味した上で、競合医療機関の実態をしっかり把握していくべきです。
精度が高く、何より実態に合った診療圏調査を行うためには、高水準の病院データベースを活用することが大切です。実際の活用事例をみてみましょう。
GISや航空測量などを手がけてきた空間情報の総合企業・パスコでは、企業の地域戦略を支援するマーケティングシステムも取り扱っています。その中で全国的に網羅された医療機関の情報が必要になりました。テーマは地域格差の少ない医療提供に向けた分析。同社では精度・鮮度の高い病院データベースを導入することで、分析の成果はその後のアクションプランにもつながる高い評価を得られました。
現在では医療施設の患者数を予測する地図システムのニーズが高まり、それに伴って同社のマーケティングシステムには診療圏調査のレポート出力機能が追加されています。
▼選定条件▼
「病院データベース」とGoogleで検索し10ページ目までにまでに表示される、病院データベースを独自にカスタマイズして販売している企業を11社調査した中で、病院・診療所・歯科診療所の合計数が最も多い企業として選出(2022年12月14日調査時点)。カスタマイズとはオープン上および独自の方法で病院データを入手し、それを顧客に合わせて編集しているものを指します。
▼選定条件▼
「病院リスト販売会社」とGoogleで検索し5ページ目までに表示される、カスタマイズされていない簡易的な病院データベースを販売している企業を6社調査した中で、全国版のデータが最も安い企業として選出。(2022年12月20日調査時点)
▼選定条件▼
「病院データベース」とGoogleで検索し10ページ目までにまでに表示される、病院データベースを独自にカスタマイズして販売している企業を11社調査した中で、唯一医師データを取り扱っている企業として選出。カスタマイズとはオープン上および独自の方法で病院データを入手し、それを顧客に合わせて編集しているものを指します。