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時間データ

病院内の業務を効率的に行うには、業務内で取り扱う各種データを活用しなくてはいけません。ここでは、それらのデータの中のひとつである時間データの活用方法をさまざまな角度からまとめてみました。また、時間データを活用するためのシステム導入についても言及しています。

時間データの活用方法

時間データを活用するには、まず外来受付時間の分析や曜日別の診療時間の把握が必要です。これらのデータを基盤として、時間データを活用できるシステムの構築を目指しましょう。

待ち時間のデータ

厚生労働省が公開している「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によれば、診察等までの待ち時間としてもっとも多いのは、「15 分未満」で 27.9%となっています。次いで「15 分~30 分未満」が 25.8%、「30 分~1 時間未満」が 20.9%であり、1時間未満の待ち時間が全体に占める割合は約70%です。

診察時間のデータ

同資料の診察時間のデータを見てみると、もっとも多いのは「5分~10 分 未 満」が41.2%と半分近くを占めています。「10 分~20 分未満」は15.7%。また、病院の種類別データでは、「5分未満」は小病院では33.8%でもっとも高いのに対し、特定機能病院では16.5%でもっとも低くなっています。

待ち時間対策

病院で長い待ち時間が発生することは、病院にとっても患者さんにとっても大きなデメリットです。では、どのようなシステムを導入すればこの待ち時間をできるだけ短くすることができるのかを見ていきましょう。

予約システムの導入

病院での待ち時間が長くなる典型的な例が、予約していない患者さんが同じ時間帯に大量に来院するというケースです。こうした状況を避けるためには、予約システムの導入が欠かせません。

患者さんが来院前にスマホやwebサイトから簡単に診察予約を取ることができれば、同じ時間帯に患者さんが集中することなく、効率的な診療が可能になります。また、電話での予約がメインだとそれだけ電話対応にスタッフの手が取られてしまい、他の業務を効率的にこなせなくなります。その点、インターネットを利用した予約システムがあれば電話対応の手間が大きく減り、スタッフの負担が軽くなるのです。

診察時間・曜日の変更

病院では診察時間や曜日が決められています。診察時間や曜日が限られていれば、それだけ患者さんも同じ時間や曜日に集中しやすくなるでしょう。そのため、患者さんを効率的に分散させて集中を防ぐために、診察時間や曜日を増やすというのも選択肢のひとつです。

ただし、当然のことですが診察時間や曜日を増やせばその分医師やスタッフの負担や業務時間も大きくなります。いったん変更した診察時間や曜日をまたもとに戻すのは簡単ではないので、よく考えてから実行しましょう。

番号札・呼び出し機器の導入

多くの場合、病院では患者さんの診察が終わったら看護師が待合室にいる次の患者さんを呼び出して診察を行うという流れをとっています。しかし、高齢者が多く耳が聞こえづらかったり、待合室が混雑していたりすると患者さんが呼び出しに応じないことがあるもの。こうした呼び出しの遅れが積み重なると、総合して大きな時間のロスになってしまいます。

そうしたロスをなくすために有効なのが、番号札・呼び出し機器の導入です。こうした機器があれば、看護師がカウンターからいちいち患者さんを呼ぶ必要がなくなり、患者さんも自分の順番を確認しやすくなるので、呼び出しの際の時間ロスをなくすことができるのです。

電子カルテ・連動機器の導入

従来は、病院内で用いられるカルテは紙の書類が一般的でした。しかし、大規模な病院になるとカルテの量は膨大なものになり、人の手で特定のカルテを探し出すのに時間と労力を要します。

そこでおすすめなのが電子カルテの導入です。現在では多くの病院や医療施設が電子カルテを導入しており、膨大な量のカルテの中からスムーズに特定の情報を引き出せるようになっています。また、電子カルテなら記入もスムーズになりますし記入ミスも減らせます。さらに、紙の書類ではないので保管場所に大きなスペースを要しません。

電子カルテと併用すると効果的なのが再来受付機の設置です。これは、患者さんが自身で画面の指示に従って受付ができるシステムで、患者さんの受付をカウンターで行う場合と比べて大幅にスタッフの労力を軽減することができます。患者さんにとってもカウンターが空くのを待たなくていいので待ち時間が長引くのを防ぐことができるのです。

声掛けの実施

各種システムの導入による負担軽減も重要ですが、スタッフによる患者さんへの声掛けも同じくらい重要です。例えば、待ち時間が長引きそうなら患者さんにその旨を伝える、診察の順番が前後しそうならその旨を伝えるといったこまめな声掛けが重要になるでしょう。

システムの導入で受付や対応を効率化することは大切ですが、それでスタッフが患者さんを放置するようになってしまったら本末転倒です。このようなこまめな声掛けを行うことで、患者さんは「この病院は自分を大切にしてくれている」と感じられるでしょう。

待ち時間を知らせる機器を採用する

自分の番を待っている患者さんがイライラしてしまう原因はいくつかあります。しかし、たいていの場合患者さんがイライラしてしまうのは、「自分の番がいつになったら来るのか具体的な時間がわからないから」だと言えるでしょう。そのため、順番待ちの人数を表示したモニターを設置したり、次の診察までの概算時間をデジタルサイネージで掲示するといった工夫が有効です。こうすることで患者さんは自分の診察までの時間を客観的に把握することができますし、病院側にも混雑状況をリアルタイムで把握して診察ペースを調整できるというメリットがあります。

本やWi-Fiの設置

患者さんが待ち時間にイライラしてしまう原因のひとつとして、「待っている間にやることがない」という点が挙げられます。実際の時間は10分20分という短い時間でも、何もやることがないとその時間は長く感じられるもの。

それを解決するために、待合室には本やWi-Fi環境を用意しておくといいでしょう。本にはビニールカバーなどを着けて清潔さを保てるようにしておくのがおすすめ。また、子供連れの患者さんも安心して来院できるように、おもちゃなどを置いたキッズスペースを設置するのも有効です。

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